2010/08/06

からだの設計にミスはない 写本(p24)

操体法のひろがり

こうなるとね、大学が黙っていられなくなったとみえて、宮城教育大では講義までさせられるし、岩手医大でも来いという。東北大の生理学の後輩たちの中でも関心をもつものが出てきたんです。

東北大の中での脳神経疾患研究所の佐藤元先生や伊藤久雄先生、宮城教育大では川上吉昭先生の研究室は熱心ですね。
脳研には、私の所の若い者が二人、週に数回出かけているが、そこの患者さんというのは、大学病院や大学院が手に負えなくなって回して寄越す人たちです。

そういう人たちを私の所の者にやらせてみると、それまで10年も20年もいろいろな医者が診てダメだったのが、みるみるうちに変わってくるものだから、そこの先生方が、こりゃ大変だということで、今、研究にかかっているんです。

宮城教育大の川上教室では、月に一回研究会を開いて、私のところで診ている筋ジストロフィーの患者や知恵おくれの子供たちのからだの変化の観察・治療の結果を検討しています。

今のところ非常によい結果が出ているのは事実だが、それがこの操体だけでそうなっているのかどうかを断定するだけの資料がまだないものだから、今は何とも言えません。
だけども、本当に熱心に検討会が行われていて、もうしばらく様子を見ていこうと思っているところです。

いずれにしても、最近になり専門家の注目をひき、これを研究しようという動きが大学の中で出てきたのは、50年余りの私の願いが微々たりといえども報いられて、その開発しだいでは世界の医学が変わるだろうと思えてならないんだ。

<宮城教育大の川上吉昭教授が中心となって、「操体法写真解説集」:柏樹社が1979年に出版されました。分厚い本で最初の20ページ程は、カラーで橋本先生がモデルさんに操法をしています。それ以降の200ページ程は、白衣姿の男性が同じモデルさんに操法をしています。
この写真集は、英語版になり海外(私の知っている限りではドイツ)の専門学校のテキストになっています。
ただ、その後、大学で操体が研究されているのか、私にはよく分かりません。

また、この「操体法写真解説集」は大変素晴らしい研究書ではありますが、症状疾患別に操法を紹介しています。
実をいうと、これは操体の見方ではありません。
我が師・三浦寛先生が、疾患別治療大百科ーアレルギー性疾患:医道の日本社のなかで、次のように書いておられます。

「私自身は3度目の執筆だが、今回はちょっと本音を言わせてもらいたい。というのは、「疾患別治療」というテーマに対して100%納得して執筆しているのではないということである。
筆者も臨床家の1人として、35年間、臨床に携わってきた、その上で、白日の下にすべてをありのままに本音で読者にさらけ出し、問いかけてみたいのである。

一般的には、臨床家の多くが、病名、疾患別治療という捉え方で実際の臨床に望んでいるのであろう、しかし、疾患別に治療するという臨床家の姿勢が、果たして本然(理)にかなう臨床なのか、別な表現を借りれば、疾患そのものの現象をいきなり捉えて治す、という試みが、果たして理にかなった方法なのか、その疑問を改めて考え直す必要がある、と筆者は読者に問いかけているのだ。

心ある臨床家の多くは、「疾患別に診る」というこだわりをもって臨床には望んでいないのである。
健康傾向の歪体化というプロセスが理解されていれば、疾患そのものは結果的な現象なのであって、その現象を結果的に引き起こしている原因が存在していることに、気づきをもって、把握しているのである。

疾患そのものも、必ず火元(原因)があって成り立つ現象(変化)である。「喘息」という疾患そのものも、因果があって生み出されたキャリアである。
臨床に臨むに当たって、喘息そのものを鬼の首を捕らえていきなり治療の表に引きずり出すような臨床行為は、火元に放水して消化しているのではなく、サイレンに放水し消しにかかるようなものなのである。」

このように、操体では、症状疾患別にからだを診ません。疾患の原因であるからだの歪みを診るのです。
逆にいうと、あらゆる疾患を診ることが出来ます。なぜなら、疾患を持ったからだは歪体化しているからです。

今日は、橋本先生のお話から少しずれましたが、操体を知る上で非常に大切なことなので述べてみました。>

今日は、ここまで、明日は出張のため、お休みです。では ごきげんよう!

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